つまり、小十郎の目の前で、自分のモノを外に出せと要求されているのだ。


「この変態・・・」

「なんとでも」


しれっと言って、政宗の行動を待っている。

意地悪な行動でも兎の耳がふよふよと動いているのを見ると、どうにも怒る気力がわかない。


「そんなに耳動かしてると喜んで餌欲しがってるみてぇだぜ?俺の咥えたくて仕方ねえのか?」


苦し紛れに強がって憎まれ口を叩くも、耳が動いてしまうのは自分も同じで、頬が紅潮しまた勝手に目が潤み始めた。

こうしていても小十郎を煽るだけである。


もどかしい快楽をどうにかする為に、観念して褌の布をずらし、横から自らのものを取り出す。


赤く勃ちあがったそこは小十郎の愛撫ですっかり熟れていた。


「政宗様の魔羅が小十郎の餌ならば、いつも差し出してくださるのですか?」


先程の憎まれ口のあげ足をとられる。


「ふざけんな、だったら勝手に飢え死にしろ」


自らが取り出したものの、そこを間近で見詰められて居たたまれない。


ぬるり、と先から蜜が溢れてふるふると震えている。


「見ているだけで感じてしまわれるのか」


小十郎がからかうように言って、流れている蜜を綺麗に舐めとるようにして舌を這わせてきた。


「う・・・っんん、ぁ」


ようやく与えられた直接的な刺激に、腰が大きく揺れた。


外気に晒されていたそこを熱い舌が這うと、小十郎の熱に呑み込まれるような錯覚に陥る。


「あ、は、ぁ・・・」


自らの蜜と小十郎の唾液であっという間にそこはぬるぬるとぬめりに包まれて、腰から力が抜けていくようだ。


「や、なんか、変だ、ま、待て。もっとゆっくり」


やっと与えられた快楽に身体が急速に昂って、すぐに達してしまいそうになっていた。


「どうぞ、一度達してください」


小十郎は政宗の制止も聞き入れずに、一層強く愛撫をしてくる。


袋をはむ、と温かな口で咥えて陰茎を上下に刺激してきた。


「あ、やめ、ろって言って・・・」


黒い猫の耳はすっかり伏せてしまい、時折小刻みに揺れている。


口内で温められた袋が蕩けそうなほど柔らかくなって、舌で確かめるかのようにぐりぐりと刺激をされる。


「は、あ・・・っ」


そして裏筋を舐め上げるように根元から先に向かって、幅の広い舌が這っていく。


「う、・・・ん・・・っ」


腰を捩って快楽を逃がそうと目をぎゅっと瞑り耐えている。

その姿にさえも煽られて、小十郎も息があがる。


先端まで舌を這わせたところで、陰茎をすっぽりと口内に含んだ。


「ふ・・・あっ・・・ああ」


温かな口の中に埋め込まれた事で、快楽から逃れようともがっしりと腰を掴まれ、されるがままの状態になってしまう。


「や、め、・・・もうでちま、う・・・っ」


どうぞ、ともごもごくぐもった声で伝えられ、じゅ、と射精を促すように大きく吸われて、とうとう政宗は白濁を放った。


「ああぁっ!・・・は、はあ・・・は・・・」


乱れた息のまま、慌てて小十郎の口をこじ開けようと口に指をいれようとした。

吐き出すように言われ、まさか政宗の手の中に出すわけにはいかないので、小十郎は自らの手に平にその白濁をだすと、すぐに政宗が指で掬おうとする。


「政宗様?」


まさか、潤滑油として自ら蕾を慣らす様を見せ付けるつもりか?と信じられない思いで疑問の顔を向けた。


「お前に使うんだよ」


一度達して余裕がでてきた政宗は、ニカリと笑ってみせる。


「な・・・っっ、なん、ですと?」


小十郎は一気に血の気が引いた。


「なんだよ、嫌だってのか?」

「そうではありません!・・・確かにお立場からいえばその方が自然な事でありましょうが・・・」

「立場とかは関係ねぇ」

「ですが・・・それでしたら尚更、年の近い、若い者の方が宜しいのでは」


そういえば、小十郎は初めて身体を重ねた時も、散々渋った挙句に“自分ではなくもっと若い者を”と言っていた。


「年も、関係ねぇだろ?」

「・・・政宗様が望むならば構いませんが・・・それならば身体を・・・清めてまいりますゆえ・・・」


小十郎は複雑な表情をしながらも、精一杯の譲歩を申し出る。


「An?・・・ああ、そうじゃねえよ」

「は?」


政宗は戸惑っている小十郎をよそに、がさごぞ、と箪笥の中からなにやら取り出してきた。


「これ」


そして手の平に白く丸いものをのせて、もう一度にかりと笑った。


政宗の手の平にちょんとのせられた白くて丸い塊は、兎の尾を模した、例の玩具であった。


「・・・っっっ!!!」


小十郎の背に稲妻が何本も走ったように見える。


「願掛け、だろ?お前もやっとかないとな?」




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