口付けからして随分様子が違う事に、驚いたが、必死についていこうと舌を絡めていたら、息があがってしまった。
「は、はあ、いつも、本気をぶつけてこい、ってんだ・・・」
「・・・」
無言のまま口内に舌が侵入してきて、上顎を刺激される。
舌を吸い付かれて、僅かなざらつきにも感じてしまう。
「ふ・・・んん」
飲み込みきれなくて伝いおちた、どちらのとも判らない唾液が喉元をくだっていき、それを追いかけるように舌が身体を降りていく。
鎖骨に舌を差し込まれ、力が抜けると、座り込むのは許さないといった力でそのまま立たされたままの愛撫が続く。
胸元を這わせる唇が飾りを掠めるたびにびくびくと反応してしまう身体を、嘲笑うかのようにもどかしい刺激。
「ちゃ、ちゃんとしろよ」
物置の横のただ広いばかりの何もない部屋。
人はまず通らないが、ただ広い空間で立ったまま施される愛撫。
決定的な刺激を与えられない為に、理性が中途半端に残っていて羞恥が煽られる。
なにか縋るもの、身を任せるものがほしい。
抱くならもっと集中させてほしい。
執拗に上半身を舐め回されながらも、そっと自らの右手が動いてしまう。
そして自分の欲に触れたところで、暖かい手の平に動きを封じられて驚く。
「政宗様、焦らずゆっくりいきませぬか?」
「っ!・・・待てねえんだよ・・・」
「注文が多いですな」
両手首を後ろ手に掴まれてしまい、小十郎も背中に回ってきた。
「ふ・・・っ」
熱い舌が背中の窪みを這うと背中が反る。
腕を拘束されている不自由さが余計にもどかしい。
「あ・・・っ!!」
身体を反らすことで余計に張り出した震える欲望を、前触れもなく掴まれて息が詰まる。
「こういうのもお好きでしょう?こちらは喜んでいらっしゃる」
「・・・っ!」
カッと顔が赤くなる。
小十郎は普段こんな事を口にしない。
そう、情事の時に口から出るのは堪えるような吐息のみで、言葉を交わす事はほぼなかった。
「こ、こじゅうろ」
「ここにおります」
「ん、顔、みてしたい」
言葉を話してくれるだけでも酷く嬉しくなってしまい、途端に甘えた事を口にする。
「本当に・・・可愛らしいお方だ」
耳元で囁かれ背中にぞくぞくと快感がはしった。
だが、そのおねだりは叶えられずに依然後ろからの愛撫が続く。
「こじゅ・・・!顔みせろよ・・・っ」
うねる舌が腰から下におりてきた。
それは尻の柔らかな肉を食むように触れてくる。
「う・・・っあ・・・そんな、とこ」
尻の肉だけでも感じてしまうとは思ってもみなかった。
小十郎が触れるところは全て快楽に塗りつぶされていって、身体がおかしくなりそうだった。
だが、欲望に触れている左手は決して動くことなく、政宗が勝手に弄らないようにと添えられているだけのようで。
「ああ、小十郎、変になる・・・!」
すると尻の中心に、ふ、と息がかけられ、小十郎が笑った気配がした。
「ひ・・・っあ」
「もう変になっちまいますか?まだ全部舐めて差し上げてませんよ」
そう言うと、内腿を舌が這い上がった。
力が入らなくて膝がガクガクとしてくる。
「も、もうやだ・・・ちゃんと舐めろ・・・」
肝心なところばかり綺麗に避けて、その他ばかりを快楽に染められて、気が変になりそうだ。
普段も気持ち良いが、今日のはそういうのとはまた違う。
圧倒的に快楽に塗りつぶされる感じだ。
唐突に尻が割り開かれて、れろ、と尻の中心に舌が触れた。
「ひゃ、ああ、あ・・・」
「ほんとはもっとじっくり他の所も舐めて差し上げたかったんですがね」
小十郎は舐めるのが好きなのか飽きもせずに、どれだけ舐めれば気が済むのかという勢いである。
蕾や袋との間の肌をたっぷりと濡れそぼった舌に舐め回されて、いよいよもう立っていられずに膝がおちてしまった。
「は、はあ、・・・は・・・」
すると無言で後ろから頭を押さえつけられて無理矢理四つん這いにされる。
「ん・・・て、てめ」
高く尻を持ち上げられて、顔は畳の上に敷いた羽織に突っ伏してしまった。
犬が威嚇するようなこの姿が恥ずかしいやら、自尊心が傷つけられるやらで、どうにか逃れたいのに、執拗に舐められ快楽に染まった身体はもう力が入らない。
「い、ん、ん・・・っんぁ」
再び秘部が暖かい舌や唇に覆われる。
尻の突き出た体位になった為に先程より激しく舐められて、腰がゆらゆらと揺れてしまう。
「ううう・・・んん、も、い、いきたい」
張り詰めた欲望は、ロクに触れていないのにもうぱんぱんに腫れあがっていた。
「もう少し我慢していただきませんと、後がお辛いですよ?」
「ひ・・・っぁ」
ぎゅうと、根元を押さえられて腰をひく姿勢となり、より尻を突き出してしまい、そのまま足を大きく開かされる。
「や、やああ」
絶え間なく舌での愛撫が与えられ続け朦朧としてくると、秘部に舌が入ってくる感触がした。
「!・・・ぁああそ、なとこ、やめ・・・」
先を尖らせた舌が、くちゅくちゅと埋め込まれていく快楽の強さに、ビクビクと身体を震わせて苦痛を訴えた。
「仕方ありませんな。一回達してください」
舌を再び秘部に差し入れ、戒めていた手を外すと、それだけで政宗は白濁を放った。