「ふ、んああっっっ」
びくりびくりと動く欲望からは濃い白濁がたくさん放たれて、羽織を汚す。
その白を指で絡めて掬うと、秘部に指を差し入れてきた。
十分なぬめりのせいですんなりと埋まるが、達したばかりの敏感な身体には刺激が強すぎる。
「や、待て・・・よ、まだ」
「待てませぬ」
「・・・っ!」
すると背中を抱くような形で覆いかぶさってきた小十郎が首筋や背中を再び舐め始め、尻への指は二本に増やされた。
「あっ・・・」
執拗に舐められたせいだろう、だいぶ解れている。
指で奥を探ると、ある一点で身体が跳ね上がった。
「ひ・・・あ、あ・・・あ」
そこをさすられていると、再び欲望が天を向いてきた。
「舐められるものでしたら、ここも舐めてさしあげますのに」
届かないのが残念です、と耳元で囁かれる睦言ですら快楽に直結する。
「あ、ああ、俺ばっか、こんなの・・・俺もしたい・・・」
健気な言葉にもどく気配がなく、ただ政宗が乱れるばかり。
そうだ、思い出した。
確かにあの夜も、一方的に乱されていた。
その執着するような愛撫の中で。
「じゃあ、おま、えも・・・早くいれろ、よ」
奉仕させてくれないならば、共に昇りつめたい、と懇願した。
その言葉に少し突き動かされたのか、衣擦れの音の後に、政宗の秘部に重ねるように熱いものが触れた。
「っ・・・っ」
驚くくらいの熱さに驚いて腰がひけてしまう。
「さっきの政宗様の残滓、こちらにも塗りつけてくれませぬか」
小十郎が政宗の動きを封じたままで、そうねだってきた。
政宗がしたかった奉仕には程遠いが、一方的な行為ではなくなったようで、嬉しい。
嬉々として言われた通りに羽織にとんだ残滓を指で掬う。
股の間から、政宗の竿の下にぴったり重なり塗られるのを待っている熱の塊をひどく愛おしく感じ、残滓を絡めながら二つの竿を手の平におさめて共にこすった。
「ん・・・ふ、あ」
「・・・っ 政宗様、宜しいか?」
猛々しく昂ったものが、するりと股の間から消えて寂しく感じるも、すぐに蕾に添えられて息を飲む。
十分にほぐていても、本来の身体の仕組みではないから毎回苦痛を伴うのだ。
「んーーっ」
ゆっくり沈み込む間も、指先が白くなる程羽織をぎゅっと握って耐える。
「政宗様、中が火照っておりますな」
予想よりも早くに全てを収められて、繋がりあった事に今更喜びを感じた。
「は、ああ、ん、ん・・・」
ゆっくりと動き出す小十郎にしがみつきたくて仕方ない。
後ろ手に手を伸ばして、その意志を伝えようとすると、腕をとられて景色が一変した。
「う、あ・・・ふ?!ああああっ」
政宗の身体は抱えられるようにあお向けられて、小十郎に背を預けるような状態となる。
自分の重みで深々と欲望を呑みこむ形となり、思わず我を忘れて声を上げる。
「、深い、ですな・・・」
「んっあっ・・・こんなのもたねぇぞ・・・っ」
背中越しに、少し無理な体勢でもお互いに唇を求め合った。
「ふ・・・んん、は、すげ・・・」
朦朧としながらも、もっとと口付けをねだって舌を伸ばす。
口付けと共に赤く震える中心をゆるゆると扱かれて、もう気が変になりそうだった。
「あ、あぁ・・・はあ・・・っこじゅ、うろ」
下から突き上げてくる欲に翻弄されて、頭の奥から蕩けていくようだ。
「ふ、ぅあああ・・・っ」
がくがくと揺すられて、目の奥がチカチカとする。
いよいよ限界が近いようで、腿が痙攣するような感覚がして、必死に自分からも動いた。
「あ、っあ・・・こじゅ、・・・す、き・・・だ」
「っ・・・政宗様・・・っ」
途端に埋め込まれている欲が大きくなるのを感じる。
「も、ば、ばか・・・むりだ・・・っ」
「共に、達しましょう・・・」
打ち付けられる速度が加速して、ひっきりなしの声がとまらない。
中にいる小十郎をぎゅうぎゅうと締め付けていた。
「あ、ああ・・・もう、いく・・・っ」
「・・・っ」
「あ、はあ・・・ん、あああっ」
体内が熱い。
小十郎の欲で腹の中が満たされるようだった。
自分の身体の中が小十郎の形に変わってしまうんじゃないかと思う。
できるならばこのまま溶けてしまいたいと、
そう心に浮かんだ思いは、意識と一緒に白くなっていった。
「政宗様・・・愛しております」
**********
気がつくと、自室の寝具に横たえられていた。
小十郎の姿を探して起き上がると、すぐ横に控えていた。
深々と頭を下げている。
「・・・申し訳ございませぬ・・・」
「野暮言ってんじゃねえよ、小十郎」
「しかし・・・・・・どうにも、自らの欲を解放しちまうと政宗様が気を失っちまうまで求めて・・・」
「All right 問題ねえじゃねぇか、俺も気持ちいい、小十郎も気持ちいいってな?」
「・・・」
なおも眉間に深い皺を寄せて後悔の念にかられる小十郎の肩口に、そっと頭を預けた。
「身体を重ねてる時くらい、俺を独占しても構わねえんだぜ?」
「・・・!!」
どうやら小十郎が悔やんでいる核心に近いところを突いたようで、目がゆらゆらと揺れ動いている。
「政宗様を想い過ぎてしまうが故周りがみえなくなり、右眼の名に相応しくない男と成り下がりますれば、この小十郎、生きている意味などありません」
つまりは政宗を愛しすぎていて、本気で身体を重ねる関係になれば色恋に溺れて、腹心として使い物にならなくなってしまうのではないかと懸念しているのだ。
この男は、肝心なところで己に対して鈍いところがある。
智の片倉と一目置かれるような軍師であるというのに。
「お前の事だから心配ねえんだよ。俺に溺れたとしても一晩、その時限りの事だ」
「そうでしょうか・・・」
「しつけぇなあ。万が一俺の事しか目に入らねえ腰抜けに成り下がったら」
「!」
顔をあげ、はっとして目を見開いている。
「尻叩いて目ぇ覚ましてやっから安心しな」
「!・・・政宗様・・・!!」
憑物がとれたような晴れやかな顔をするもんだから、小十郎の懸念ていうのはある意味呑気だなと思わずにはいられない。
10年前のあの日から、そんな事を考えていただなんて。
お前が俺に愛情を注いでくれているからこそ、そんな事起こりやしねえのにな、と思う。
何故なら、政宗の為にと周りの全てに神経を尖らせている小十郎だ。
だから、政宗自身だけに目が向いてしまう事はないのだ。
愛ゆえに。