家に着くと、買ってもらったものをキッチンやら台所に仕舞って、ついニヤついてしまう。


今日は本当に楽しかった。

この幸せに慣れなくて、たまに母親を思い出しては、チリ、と胸が痛むけれど。


それも小十郎といたら薄れていく気がする。



そう、ちょうど今朝の夢みたいだ、と思う。


夢の中の政宗も何かに絶望していたけど、あそこにも小十郎がいた。

ならばきっと大丈夫。



ちらり、とキッチンから、居間に座って新聞を読んでいる小十郎を盗み見る。


「小十郎・・・Thank you」


すぐに振り返ってくるかと思っていたその背中は、ぴくりとも動かなくて、怪訝に思って回り込むと、新聞を持ったまま静かな寝息をたてていた。


昨夜は政宗が倒れたせいで、あまり寝ていないのかもしれない。


「今日は、一緒に寝ような」


愛おしさがこみ上げてきてたまらなくなり、新聞がぐしゃりとなるのも構わずぎゅう、と抱きついた。


「・・・っ?・・・まさ、むね」

「へへ、わりぃ。起こしちまった」

「いや、つい寝ちまってたな」


少しだけ眠たげな目をしている小十郎に、仕草だけでキスをねだる。


慈しむような口付けをされて、今度は自分からも唇をなぞった。


「どうしたんだ、急に」


唇を触れ合わせながらも、少し微笑んだ気配がする。


「お前のせいだ」


それだけ呟いて舌を差しいれて深く口付けると、自然と息が荒くなってしまう。


「・・・あんまり俺を煽るなよ」


先程までは甘いキスに応えてくれていた小十郎が、動きを鈍くさせる。


「ん、いいから。なんか、俺もう駄目だ」

「駄目?」


口付けをやめないまま、吐息とともに言葉を紡ぐ。


「お前の事、好きで、どうにか・・・なっちまう」




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