まだ慣れない行為に恐怖がないわけではないだろうに、健気にもぎゅうと首にしがみついてくる。


けれどさすがに湯船では狭く勝手が悪い。

首にしがみついて身体を固くしている政宗を抱えてシャワーの所に連れて行く。


「ここに手をついて立てるか?」

「・・・!」


立ったままコトに及ぼうとしているのを察知して動揺した空気が伝わってくるが、なにせ負けず嫌いの意地っ張りだ。

無理に平静を装いながら、申し訳程度に壁へ手をついて背中を向けてくる。


無茶をさせるのは心苦しいが、小十郎も余裕がない。

すぐにでも己を差し入れたい気持ちを抑えているのだ。


今は政宗の虚勢に甘えさせてもらおう、と政宗の精液を塗りつけるようにして蕾の周りをほぐし始めた。


指をつぷりといれると、それだけで身体が強張っていくのがわかる。


「政宗、力ぬけるか?」

「ど、やって・・・」


力を抜きたくても抜けないのだろう、訴えかけるように顔だけ振り返って困り顔をしていた。


その頬や耳や首にちゅうちゅうと柔らかく口付けて、少し柔らかくなってしまった前にも触れた。


「あ。まだ、さわん、な」


達したばかりでまだ敏感なようで、身を捩じらせる。

けれど力がふにゃりと抜けたのを感じて指を進めると、ぬるりと飲み込ませることができた。


「ア・・・っ」

「入った、な」

「・・・んっうるせ・・・」


無意識に少し尻を突き出すように体勢を低くしてくれたおかげで、指は抵抗なく抜き差しできるようになった。


「あ、ん・・・っ」


風呂場に反響する甘い声に興奮を覚えて、己がそそり立っていくのがわかる。


突き入れたい。

啼き喘がせたい。


喉を鳴らして、指を2本に増やした。

奥で少しぷくりとしているところを擦るように刺激してやる。


「あ、あ・・・あっ」


ひくひくと背を反らして、ソコが感じる所なのだと体で伝えてくる。

きゅうきゅうと指を締め付ける蕾に翻弄される思いで、指の刺激を続けたまま、政宗の股の間に欲望を擦り付けた。


「ひゃ・・・っ」


お互いのものがしっかり形を成していることを見せ付けるかのように。


「あ、んん、・・・っ、こじゅ、も、いれ、ろよ・・・」


しつこいくらいに指で刺激していたら、くてりと身体の力が抜けきった様子で振り向いてくる。


「痛かったら言えよ」


入口に己の猛ったものを宛がうと、政宗が壁に爪を立てるようにして背をそらしている姿に目がくらむ。

なんとも言えない色気に、ゆっくりと己を埋めながらその手にそっと触れた。


「うう・・・っっ」


散々慣らしていたせいか、思っていたよりも簡単に繋がってしまえた。


「・・・政宗・・・」


政宗の身体の中に入っているのだと思うと、それだけで頭の中が溶けていくようだ。


まだ挿入の感覚に震えている政宗を落ち着かせるために、動きを止めて背中に唇をよせる。


「・・・冷えてきたか?」


触れた肌は、少しひんやりしていた。


「ん?・・・だいじょぶ、だ・・・寒くねぇ、よ」


そうは言うが、湯船からあがって時間がたっているし肌の表面は少し冷えてしまっている。


「そ、れより、もう平気だから、動けよ」


強がってみせる政宗に思わず笑みがこぼれたが、頬にキスしながら暖かいシャワーをだす。


繋がりあったまま、少し焦らすように小さく突いて刺激をしながらも、政宗の肌に湯をあててやる。


「ひゃ、あ・・・んや、やめ」


すると、敏感になった身体が弱めのシャワーに反応してしまうようで、くすぐったそうに身を捩った。


「シャワーに感じてるのか?」


からかうようにして、胸の尖りをつまみながら、そこにもシャワーをあてる。


「あっや、くすぐった・・・」

「それだけじゃないんだろ?」


少しだけ身体を横にずらせば、浴室の鏡に自分達の姿が写っている。


「あ・・・っ」


それに気付いてしまった政宗は、鏡越しに小十郎と目が合うとギッと睨んでそっぽを向く。


「ここだと、後ろに居ても顔が見えていいな」

「見んな!」


自分が目を反らしていても、小十郎からの視線を感じて、ちらちらと鏡を気にしている。


「ひゃ・・・っ」


指で胸の尖りをはじくようにして、そのままシャワーを下の方に這わせていって、腹の下辺りにあてた。


「あ、ん、も、それ、やめろ、よ」

「こんなにしてるクセに、か?」


執拗に触れていた胸から手を離すと、完全に張り詰めて上向いていた前を、ぎゅうと掴んでやる。


「ン!・・・ば、それはオマエが入れてる、か、ら・・・っ」


ぐ、と応えるように己を少し強く突き上げた。


「あ・・・っ」


鏡で潤んだ瞳と目が合って、獣のような気持ちがうまれてしまいそうになる。

貪欲に、政宗を貪りたい。


「シャワーでも喜んでるじゃねぇか、少し、妬けるな」

「な、なに言って・・・っああ・・・っ」


確実にぐりぐりと中を突き上げながら、弱めのシャワーを政宗の前にあてると、途端に腰がぐらりと揺れた。

ねだるように蕾が締め付けてくる。


「や、は、それ、やめ・・・両方・・・は・・・っ」


口ではやめてくれと言っているのに、腰は絶え間なく揺らめいて、小十郎自身にぎゅうぎゅうと絡みつくのだ。


「・・・っ」


直接の刺激と政宗の痴態に視覚すらも快感に塗りつぶされて、小十郎は腰にどんどんと欲が溜まっていく。


「やっ、こじゅ、い、い・・・っ」


快楽に翻弄された政宗の身体もすっかり緊張が解けて、もっと寄越せと更に求めてくるようだ。

鏡に身体を寄せてそこに写った小十郎に縋りついているかのように見える。


頭の中で今度こそ最後の箍が外れた気がした。


甘い声に満たされた浴室で、必死に腰を揺らめかせる政宗を独り占めしているのだという幼い優越感に浸り、欲望のままに腰を進めた。


「あ、あっ・・・んっっ」


シャワーで刺激しながらも前をゆるゆると擦ってやり、腰は深く突き上げ続けた。


「やあ・・・っぅ・・・あ、ああ、は・・・こじゅ・・・んんっも、また、い、く・・・っ」

「・・・っ、ああ、おれ、も」


息も絶え絶えになりながら、ぐり、最奥を立て続けに突くと、声にならない悲鳴をあげて、政宗が白濁を鏡に飛ばした。


その姿に、小十郎も奥に思い切りはなってしまった。


「あ・・・ん、こじゅう、ろ・・・中、あち、ぃ」


政宗が下腹を押さえるようにして身を捩る姿に、もう一度大きく中で震え、果てた。




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