「今日は、湯を張ったんだな?」
「・・・最近ずっとシャワーだったから、たまにはオマエが風呂浸かりてぇかと思ったんだよ」
良い雰囲気だった所を風呂のアラーム音に邪魔をされ、腕の中にいたはずの政宗には逃げ出されてしまっていた。
政宗は無意識だろうが、自分から仕掛けるのは平気なくせに、いざ小十郎が行動にでると途端に引け腰になるのだ。
小十郎にとってはそんな所も可愛いと思えて仕方がないのだが。
「俺、後片付けするから先に風呂はいっちまえよ」
そう言って何事もなかったかのようにキッチンへ戻る政宗の腕を、ぐいと引っぱった。
「わ・・・っっ、てめ、小十郎何しやがんだ」
「今日こそ一緒に風呂でもどうだ?」
体勢を崩して小十郎の胸に倒れ掛かってきた政宗の耳元に、低い声で囁く。
「!!」
身体をびくりと震わせた政宗は、それを誤魔化すかのように慌てて一気にまくしたてた。
「なんっで、そうなるんだよっ、このムッツリ!!わざわざ狭い思いしてまで一緒に入る必要ねぇだろうがっっ!」
尾を逆立てて、目を吊り上げる。
今にもフーッという唸り声をあげてきそうだ。
可愛いだけじゃなくて、世話の焼けるところも惹かれてやまないのである。
「仲直り、するんだろう?」
「!!・・・初めから喧嘩してねぇ」
「もっと触れていいんじゃなかったか?」
「そういう意味じゃ・・・っ」
そっとふるふると震えている頭の上の耳を食むように口付けてみた。
「ン・・・!」
「じゃあどういう意味だ?」
「だ、から・・・気持ち的にっつうか・・・っ」
「気持ちをもっと触れ合わせるって事か?じゃあ問題ない」
柔らかく額に口付けをおとしてから、
「だろ?」
そう告げて、政宗の薄い身体を軽々と担ぎあげた。
「う、ワ・・・っっWait!!このヤロウ・・・っ」
「俺ももっとお前に触れてえんだがな」
「・・・っ」