少しわかった事がある。

政宗はきっと与えられるだけの愛情は苦手なのだ。


ついつい気持ちが先走って強引に迫ってしまいそうになるが、時々は政宗の行動も待ってやらねばと思う。


「ンっ」


そっと背中に腕を回して引き寄せると、密着したせいで互いのものが当たってしまった。


「こじゅうろっ」


何もしないって言ったくせにと言わんばかりに睨まれて、思わず背中から手を離す。

この体勢で互いのものが触れないようにするというのは無理である。


けれど、更に触れ合わせたりする事も、また身体を引き寄せる事もしなかったら、政宗が意外そうな顔をした。


「・・・約束守るってか?へへっCoolだぜ、小十郎」


そして思惑通り、自分からちょっかいを出してくるようになる。


「ここ、ちょっと固くなかったか?」


悪戯っ子の面持ちで、からかってきた。


「政宗も、固かったぞ」

「・・・うるせ」


口では仕返しとばかりに言ってみるが、依然として政宗に直接的なちょっかいは出さない。


すると政宗は更に近づいてきた。


「ま、しょうがねぇか、ひっついたら当たっちまうもんは当たっちまうよな」


そしてもう一度首に手を回してその身体をピタリと密着してきた。


小十郎は幸せを噛みしめるのと暴走しそうになる衝動を耐えるのに、必死だった。

正直焦れったいが、政宗が興奮して徐々に距離をつめていく様を見ていたい。


組み敷きたいのならば今度いくらでもしたら良い、と自分に言い聞かせる。


ひくり、と政宗のものが動くのを感じて、便乗して自分のものがびくりと大きくなってしまった。


「ワ・・・オマエ、えろい事考えてんだろ?」

「この体勢で考えない男はいないだろう」


ぐっと我慢をして、両手はそれぞれバスタブの縁にがっちりと根をはるように掴んだ。

理性と本能の狭間で、段々辛くなってきている。


そしてそれに追い討ちを掛けるように政宗はちょっかいを始めるのだ。

小十郎がされるがままで自分が主導権を握っている事に相当気を良くしている。


「ん」


ぴたりと互いの熱が触れ合ったままで、額に口付けてくる。


そして戯れに瞼や目尻、鼻先にも、可愛らしい音を立てながらちゅ、ちゅとキスを降らせてきた。


キスの角度を変えるその度に、二人の熱がもどかしく擦れあう。


その刺激に、いつの間にか政宗のものも完全に張り詰めていて、無意識にか腰をゆらめかせてきた。


「ここは? してくれないのか?」


決して自分からは動かないという意志を示し、小十郎は自分の唇を強調するように顔を上に向ける。


「Ha! 今日は随分甘えただな」


小十郎の仕向けていく罠にも気付かないで、年下を宥めて可愛がるような素振りで頭を撫でてくる。


「んん」


そして小十郎のおねだり通りに唇を近づけてきた。

手を回し頭を固定させて、大事そうに丁寧に触れてくる。


「ふ、・・・ん」


消極的にしか動かさない小十郎に、政宗が好きなように唇や舌を絡めてくる。


けれど湯の中の浮力で、互いの熱を上手く擦りあわせる事が出来ずもどかしいようで、ますます身体を寄せて、腹に擦り付いてきた。


―――もうそろそろ限界だな・・・


ここまで耐えてきたが、今は押し倒したくて仕方がない。


「政宗、そろそろ・・・」


どうにか頭を切替えて、さっさと風呂を済ませて寝室へ行こうと政宗の身体を離そうとする。


だが、政宗の手に自身を握られて目を見張った。


「でかくしやがって」


そう言って二人のものを一緒くたに両手で握られた。




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