「ん・・・っ!て、め・・・」

「しばしご辛抱されよ」

「馬鹿、いってんじゃ、ね、ぇ・・・無理に、決まって・・・っ ん」


寸前でせき止められた政宗を宥めるように目元に口付ける。


「ふ・・・ぅうっ・・・、いっかい、イかせ、ろ・・・っ こじゅう、ろう・・・っ!」

「勿論、承知しております」


跪き、力の入らない政宗が倒れこまないように肩に手をおかせ腰を引き寄せて、自らの口で政宗自身を咥え込んだ。


「・・・っっ!・・・んん・・・っ」


裏筋に舌を這わせたまま唇で上下にしごいてやり、指の戒めを解くと、再び訪れた強い快楽に少しもしないうちに限界が訪れる。


「あ・・・、はな、せ、もう・・・で、る・・・っ」



その声を聞き、ますます深く咥えて音をたてて吸い上げる。


「ふ・・・っや・・・め・・・・・・っもう・・・っ」


息を詰めたような気配ののち、生温かい欲望が口内に放たれた。




「ん・・・、は・・・は、ぁ・・・」


ごくりと喉を鳴らした後に、慈しむような笑みをむける。


「たくさん、でましたね」

「っ・・・」


すると、まだ“恥じらい状態”が続行中なのか、紅潮させたままの頬でそっぽをむいた。


可愛い、と何度も伝えたい衝動に駆られるが、もうそろそろ本当にヘソを曲げかねないので言葉を飲み込む。


「さあ、姫。城に帰りましょう」

「・・・え?」


先ほど少し前を肌蹴させてしまったとはいえ、帯はそのまま解かなかったので思ったよりは元通りにできそうで、小十郎は内心ほっとしていた。


だが着物を整えられながら、政宗は呆けた顔をしている。


「・・・お前、ソレ。どうする気だ?」


ソレ。

と言って指差されたものは、小十郎の股間。



「小十郎の事はお気になさらず。自分でどうにでも致します・・・」


そう簡単に収まる状態でないのは、着物の上からでもわかってしまうくらいだ。



「もう、出さないと無理なくらいじゃねぇのか?」


「・・・・・・」


男同士というのはこういう時に誤魔化しがきかない。

確かに、これの熱が引くまで放置するのは、かなり苦痛を強いられる。


だが。


「政宗様のお召し物が汚れてしまいます」

「Ha!そんなコト気にしてんのか?」

「今のお姿の貴方様は梵天丸様のような可愛らしい振る舞いで・・・その、小十郎は押さえがきかなくなってしまいそうなのです」

「押さえ?いつも無茶してんじゃねぇか!」


「ですから・・・こんな屋外で無茶したら、泥まみれですよ・・・」


きりのない押し問答が続く。


「でしたら、今宵、政宗様のお部屋に参りますから・・・」

「お前・・・俺が餓えてるみたいじゃねーか!」


・・・大概、餓えてますよね。と小声で呟く。


「Ahn?今餓えてんのはお前だろうがっ!」



するとしゃがみ込んで、小十郎の履き物を下ろし下穿きを露わにする。


「ま、政宗様・・・お召し物が・・・」


よく見ると、裾を持ち上げて抱え込んでいて、地面につかないように工夫しているらしい。

恐らく汚れることを気にしているのではなく、それを気にする小十郎を黙らせる為だ。



「お前も一回だしとけ・・・続きは今宵、だけどな」

「・・・!」


政宗は下穿きの上から欲望に口付けをすると、上目遣いのまま妖艶に笑む。

その光景にも眩暈を感じた。


すぐに器用に下穿きの戒めが解かれ、今にも暴れだしそうな男根を取り出される。



熱をもった視線でしばし見詰めたのちに、ゆっくりと赤い舌を覗かせた。


「政宗さ、ま・・・」


言い出したら聞かない主への抵抗は諦め、甘美な愛撫に酔いしれる事にする。


「ん・・・っ」


いつにも増して質量の大きな小十郎をいきなり口に含もうとして、苦しそうな声を漏らす。


「む・・・んん・・・っ」

「っ・・・政宗様、どうか、ご無理をなさいますな・・・」


喉の方まで咥え込むのは諦めたようで、両の手でゆるゆる動かしながら舌を懸命に絡めてくる。

唾液をたっぷりと絡まされたそれは、木々が影をつくりあう薄暗い林の中で濡れ光っていた。


グロテスクとも言えるそそり勃つ男根に、美しい姿の主が淫らに舌を這わせる様はなんと背徳的なことか。

小十郎は視覚でより興奮する己を感じずにはいられない。


―――これは長くもちそうもないな・・・



吐息に熱がこもり始めたのに気をよくして、政宗はますます熱心に舐めまわす。

カリの部分を舌でなぞり、先の窪みを刺激する。


政宗の唾液が潤滑油となり、竿を上下にする動きは滑らかで水音を絶え間なくたてていた。


裏筋を啄ばむように吸い上げると、小十郎が喉をならしたのを感じて執拗に繰り返してやった。

そして再度小十郎自身を口内に含ませた。


「は・・・」


「んん、・・・ふ」



小十郎は木の幹を背もたれに、己が欲望を夢中で愛撫し続ける主を見詰めながら、頭をそっと撫でる。


本当は、すぐにでも政宗と繋がり合いたい。

だが思うようにできない現実が口惜しい。


―――政宗様のおっしゃるように、今宵褥に・・・



自分も大概、餓えているなと苦笑いするも、追い詰められてきた快楽にはっとする。




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