大きく怒張したものはとても口に収まりそうにないので、周りをペロペロと必死に舐めあげた。


ぐ、と政宗の頭に触れた小十郎の手が酷く熱く感じる。

引き寄せられるものかと思ったら、ぐいと下半身から引き離された。


「まだ・・・」


もっと小十郎を追いこんでやろうと思っていたのに途中で遮られ、抗議の声をあげる。


すると四つん這いの政宗を支えるように手を添えて、小十郎がするりと体を滑らせて横たわった。

愛撫を与えていた熱は変わらず目の前にあるが、その代わり自分のものも小十郎の前に晒され、互い違いのポーズにさせられる。


「こ、こじゅうろ・・・」


予期せず小十郎の顔に跨るような体勢をとらされて動揺を隠せない。


「どうした?続けるんじゃないのか?」


くすりと笑われた気配を感じて恥ずかしくなりつつ、負けず嫌いの政宗は平気な振りをせざるをえなかった。


「っるせ、わかってる!」


虚勢を張りつつも動作が鈍くなってしまう。

するとそれを指摘するかのように小十郎から快楽を与えられた。


「ん・・・ぁ、あ・・・!!」


自分の欲望は、おそらく小十郎の口元までほんの数センチという距離であろう。

先端が先走りで濡れているせいで、小十郎の微かな息遣いも撫でさすられているように感じ取れた。


すぐ近くにあろうとも与えられるのは指の刺激のみで、そのもどかしさに知らず腰が震える。

それでも絶え間なく溢れてくる密でぐちゃぐちゃと音が鳴り始めた。


「・・・っん、は・・・あ・・・」

「どうした?足りないか?」


まだ余裕を感じる声音に腹が立つ。

先ほどから政宗の方が長く愛撫をし続けているというのに。


ふ、とまた息が吹きかけられ、ようやくわざと仕掛けられている事に気がついた。


「おま、え・・・わざと、息・・・」

「わざと?俺はただ政宗のココをじっくり見ていたいだけだぞ」

「な・・・!!!」


そう言われて初めて気がついた。

咥えられているならまだしも、この体勢で顔が少し離れているならば当然間近で全てを見られている事になる。


「もう離せ!」


羞恥から立ち上がろうとしたが、小十郎にがっちりと片腕で腰を固定されていた。


「わかった、もうしない」


その一言で、てっきり解放されるものかと思っていたが、次の瞬間にぐいと腰を引き寄せられた。


「う、わ・・・!」


自分の下腹がぬるりと暖かく柔らかいものに包まれる。

小十郎の口内に咥えられたのだ。


「んん・・・っ」


散々焦らされたあとに強い刺激を与えられ、びくりと震えてしまう。


すぐに昇りつめてしまわないように与えられる快楽をやり過ごそうとして、小十郎の下腹の熱への愛撫に集中しようとした。


「あ・・・っ・・・んぅ」


声を抑えようとしても咽の奥から勝手に沸き上がる、啜り泣きのような声を止める事が出来ない。


「こ、じゅ・・・ろ」

「・・・、どう、した?」


意外な事に、小十郎も息があがり熱い呼吸をしていた。


「っ」


きっといつものように余裕のある声音で、翻弄されてばかりいる自分の姿を嬉しそうにして見ているものと思っていたのに。


「あ・・・っ」


自分の腹の下を覗き込むようにして見やると、熱に染まった瞳とかち合って、体温が一気に上昇した。


「ん、あああっ」


そして、追い打ちをかけるように小十郎の口が大きく開いた。

政宗の欲望を飲み込む勢いで咥える様はまるで獣のようで、視覚でも感じてしまう。


「も、はな・・・せ・・・っ」


強い刺激に耳鳴りがし始め、必死に身体を捩った。


「いい。このまま、だせ・・・」

「・・・っ!」


その熱い声まで与えられる快楽の一つとなり、背中に甘い電撃が走ったように感じる。

じゅぶじゅぶと濡れた音が絶え間なく響き、それが自分の雄と小十郎の口内によって奏でられているかと思うと、もう昇りつめるのを止められなかった。


熱い舌は縦横無尽に竿の部分に纏わりつき、大きな手の平に袋を優しく揉みしだかれ、快楽が強すぎて身体全体の力が抜け落ちてしまう。

手で己を支えている事もできず小十郎の腰にしがみつく形になると、そのままの体勢で横倒しにされもう一度深く咥え込まれる。


愛撫を仕掛ける事も忘れていたが、喘ぎ声をどうにかしたくて小十郎の竿をはむはむと口に含んだ。


「・・・っ」


それ自体が生き物のようにびくびくと大きく蠢いており、口内も小十郎に埋め尽くされている事を更に感じてしまう。


「う、あ・・・んんっ・・・こじゅ・・・ろ・・・っっ」


小十郎の口の中に包まれた欲望は破裂する寸前だった。

羞恥はとっくに超えていて、腰を使って自分でも小十郎の口内への抜き差しを始める。


すると小十郎も同じように腰を使ってきて、苦しいはずなのにその苦しさまでも気持ちが良かった。


「は・・・は、ぁ・・・ん。んっ」


どちらがどちらを良いようにしているというわけでもなく、互いが互いを感じあっている、そんな繋がり方だった。

長くこの時を味わっていたいのに、身体は勝手に昇りつめて限界がきてしまう。


「うう・・・っあ、ああ、あ・・・っ!!!」


ぶるりと一際大きく震えると、小十郎の口やら顔やらに思い切り精を放っていた。


「ぁ・・・んっ」


小十郎の手が伸びてきて頭に添えられたかと思うと、数回大きく口内で律動されたのちに、同じく精を放たれる。


「・・・っ」



そこから記憶があやふやになった。

絶頂で力の入らない身体が絶え間ない愛撫で更に溶かされていき、どこもかしこも舐めつくされて小十郎の舌を感じない所など残っていなかった。


普段の虚勢も忘れて縋りつき、甘い声を幾度もあげたような気がする。


脳裏には小十郎が呟いた言葉が焼きついていた。


『昔の俺は想いを口にする事も赦されなかった。この腕に抱きしめることも、髪に触れることも』


その言葉が切なくて仕方がないのは、きっと自分もその気持ちを知っているからだ。


誰よりも一番近くに居て、自分を理解して、共に戦乱の世を駆け、生き抜いた。

小十郎にだけは、笑ったり泣いたり怒ったり、山ほどの感情をぶつけてきた。


たった一つの感情だけは、閉じ込めて、心に蓋をして。


いつも『蓋をあけろ』と中にいる自分が乱暴に叩いてきたものだが、その度に奥へ追いやり、また一つ、また一つと蓋を頑丈にしていったのだ。




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モドル